「第三の場所(サードプレイス)」はスターバックスの存在を位置づけるような言葉です。
この「第三の場所(サードプレイス)」という概念を理解することは、スターバックス、ひいてはカフェという場所の魅力を知る上で重要なことであると考えております。
今回は「第三の場所(サードプレイス)」とは何かということから、支持されていった経緯などについてお伝えさせていただきます。
- 「第三の場所(サードプレイス)」とは
- 「第三の場所」として価値を提供したことがスターバックス流行の理由!
- 「第三の場所」が支持された時代背景
- インターネットの普及がスターバックスの支持を獲得を加速させた
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「第三の場所(サードプレイス)」とは
スターバックスを理解する上で「第三の場所(サードプレイス)」は重要なキーワードだと言えるでしょう。
「第三の場所(サードプレイス)」という言葉は、社会学者レイ・オールデンバーグ氏が著した『素敵な心地よい場所』で用いられていた「第三の場所(サードプレイス)」という学術用語をスターバックスCEOハワード・シュルツ氏が気に入り、スターバックスを「第三の場所(サードプレイス)」と名付けました。
「第三の場所(サードプレイス)」は家庭とも職場とも違う人々が気軽に集うことができる場所のことを指します。仕事や家庭でもない非日常な空間は、一人で過ごすのにも友人とのおしゃべりにも「第三の場所」であるからこそのくつろぎや楽しさを与えてくれます。
カフェ好きはコーヒーではなくサードプレイスを求めている?
カフェが好きというと、コーヒーが好きということがイコールで語られることが多いように感じております。個人的には、カフェ好きは必ずしもコーヒーが好きとは限らず、このサードプレイス的な機能に魅力を感じていることが往々にしてあるのと思うのです。
喫茶店王国と呼ばれ国民一人あたりの年間喫茶店利用金額が全国一位である名古屋の存在は有名だと思います。
愛知県の一人あたりのコーヒー消費量は全国42位(平成27年総務省統計局のデータ)なのです。そのことからも、カフェ好き=コーヒー好きではないということがわかるでしょう。
以下では「第三の場所」としてスターバックスが支持を獲得していった経緯をお伝えいたします。さらに「第三の場所」への理解を深めていただければと思います。
「第三の場所」として価値を提供したことがスターバックス流行の理由!
スターバックスがカフェとして誕生したは1987年です。
それまではコーヒー豆の販売店でした。詳しくは⇒スターバックス誕生の経緯!コーヒー豆販売店からカフェスタイルになった理由! - Enjoy Cafe!
当時、スターバックスのように、イタリア方式で質の良いエスプレッソドリンクを素早く提供する店は他にありませんでした。シュルツ氏(スターバックス元CEO)は、スターバックスが人気を獲得し店舗が拡大していった理由は、最初の方はコーヒーの魅力によるものだと考えていました。
しかし、要因はそれだけではなかったのです。
スターバックスが急成長を遂げたのは郊外や住宅街の店舗でした。
郊外や住宅外ということは、コーヒーを素早く飲みたいと考える、ビジネスマンの顧客が大勢いる訳ではありません。そのことから、シュルツ氏はスターバックスが「第三の場所」としての機能が支持を集めたことに気づきました。
現在のように、スターバックスでまったりと過ごすような使われ方をされて支持を得るということは、CEOですら予想していないことだったのです。
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「第三の場所」が支持された時代背景
スターバックスが「第三の場所」として支持を集めて拡大したのには当時の時代背景も大きく関係しています。
イタリアではエスプレッソバー、ドイツではビアガーデン、イギリスはパブというように、それぞれの国には家庭とも職場とも違う「第三の場所」があります。
このことから、人々は本質的に、家庭でも職場でもなく人々が集うことのできる「第三の場所」を求める欲求があると考えられます。
アメリカでは時代が進むにつれて、郊外化が進みました。それにより、ドラックストアや美容院など地域の人々同士が交流できる場所が次第になくなっていったと言います。
日本でも郊外化が進んだ時は、巨大なショッピングモールなどが出現し、商店街のお店が閉店するようになりました。そうすると、地域住民との交流が希薄化していく傾向があることは、なんとなく肌感で理解できます。
人々の関係が希薄になるのは、寂しいことです。
この孤独を埋めるために、人は「第三の場所」のような存在が必要なのです。
そうした事情もあり1990年代にはスターバックスのような誰もが気軽に集えるコーヒーショップが失われた「第三の場所」としての役割を担っていき、店舗が大幅に拡大していったのだと思われます。
インターネットの普及がスターバックスの支持を獲得を加速させた
また、インターネットの普及はスターバックスのようなコーヒーチェーンの店舗数拡大に大きく関係していると考えられます。
1990年代半ばからインターネットは社会に大きな影響を与え始め、在宅勤務をする人たちも増えていきました。それと平行する形でスターバックスの店舗数は拡大していきました。
きっとそれは、在宅勤務により他社との現実的な関わりが希薄になった人々の需要に答えて「第三の場所」が多く設けられるようになったのだと思います。
私の職業も現在ノマドワーカーと言われるものに該当すると思います。
昼夜問わずに一人でパソコンに向き合い続けるというのは孤独です。
私がカフェに通う理由は、そんな寂しさを埋めたいという思いも潜在的にあると思います。「人がいる」というだけで自宅にはない緊張感があったり、他者の中の自分を感じることができて「自分」というものを保てているような気もします。
ちなみに、日本のコーヒーチェーンのドトールコーヒーでは、一人で来たお客さんにも寂しさを感じさせないようなBGMの工夫がされているそうです。
詳しくは⇒ドトール|店内BGMへのこだわり!流行りの曲を流さない理由!
カフェのような「第三の場所」にはある種の人との交流を求めていきます。
カフェでの交流は、「誰かと喋る」ということだけを指す訳ではありません。
そこには人々が存在して、各々の時間を過ごしています。
そんな空間に存在し合う、というような交流の仕方です。
共同作業がある訳でもなく、互いが自分勝手な時間を過ごしているにも関わらず、空間を共有しているという不思議な交流ができる機能はカフェならではの魅力だと思います。
近年は、IT化が進みパソコン一台あればどこでも仕事ができるノマドワーカーの数は増加しています。
さらにこのような働き方をする人は増えていくと言われています。となると、必然的に「第三の場所」であるカフェの需要も増加していくのではないでしょうか。
私は、1日3回以上カフェに通うことがあります。
「カフェによく行く」というと、自宅で過ごせばいいじゃないか?と言われることもありますが、カフェという場所は自宅にはない特別な「第三の場所」としての価値を提供しているのです。
きっとインターネット社会を生きる現代の人々にとっては「第三の場所」はより重要なものになっていくのではないでしょうか。
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