「サードウェーブ」とはアメリカで起きた第三次コーヒームーブメントのことを指します。そこに至るまでの過程、ファーストウェーブ、セカンドウェーブと順を追って見ていくと、コーヒー業界の興味深い歴史が見えます。
戦争がもたらしたコーヒーのブームとは?コーヒー業界の流れを変えたスターバックス。そしてそれに対して「俺が変えてやる」と言わんばかりに現れたブルーボトルという存在。
サードウェーブに至るまでの流れを知っていくと、カフェの見方がかなり変わると思います!
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ファーストウェーブ~戦争がきっかけで~
ファーストウェーブは19世紀後半から1970年頃まで続いた、コーヒーの大量生産・大量消費の時代です。この時期にかけて、アメリカでは急激にコーヒーが消費されるようになりはじめました。第二次世界大戦の時にアメリカ軍がインスタントコーヒーを好んで飲まれていて、それがきっかけで戦後には一般家庭でもコーヒーが飲まれるようになりました。
ただ、当時のアメリカのコーヒーは安価な豆が使われていて、味や品質に関してはひどいものだったと言います。
けど、そんな中に「うまいコーヒー飲ませたる!」という血気盛んなコーヒー好きな者たちがセカンドウェーブというブームを起こすのです。
セカンドウェーブ~そしてスタバは生まれブームを巻き起こす~
オランダのコーヒー貿易商のピートは1955年にアメリカに渡った時に、コーヒーを飲んで「ひどい代物」と感じたそうです。そこでピートは「俺が本場のコーヒーっちゅうもんを飲ませたる!」と言わんばかりに1966年に、アメリカにピーツコーヒー&ティーという小さな店を開きました。今までのアメリカで飲まれていたのは「浅煎り」という焙煎の仕方をしている豆でしたが、ピートは初めてアメリカに「深煎り」の豆を提供したのです。
【関連】焙煎についてはこちら⇒焙煎とは?ドトールコーヒーの事例も交えて興味深くわかりやすく!
その味に魅せられたのがゴートンという若者でした。ゴードンはある日、コーヒー豆を買って家に帰ってる途中に「シアトルに店を開こう!」とひらめいて、立ち上げたのがスターバックスです。
その後スターバックスのメンバーに加わった、シュルツという人物。彼はイタリアのエスプレッソ・バーでカフェラテを飲んだ際に衝撃を受けて「これをアメリカに伝えるのは私の使命だ!」と感じて、シュルツはカフェラテを広めるために日々邁進しました。そしてこれが大ブームになります。
セカンドウェーブとは、そんなスターバックスを始めとしたシアトル系のコーヒーチェーンが1980~90年に起こしたブームのことを指します。深煎りで高品質な豆を使ったカフェラテなどのエスプレッソドリンクを主力に旋風を巻き起こしました。
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サードウェーブとは?~「スタバは嫌い!」ブルーボトルがやりたかったこと~
サードウェーブとは2002年頃から起こりはじめ、それが何かと簡潔に述べるならば「質の高いコーヒーを1杯1杯丁寧に淹れる店が流行ったこと」というところでしょうか。具体的に言うと、サードウェーブコーヒーとは、コーヒー豆はどこの国で作られたかがわかるだけでなく、どこで誰が作ったかまでがわかる生産地が明確で厳選された高品質なものを使うコーヒーのことを指します。
また、自家焙煎した豆をバリスタがその場で一杯一杯丁寧にコーヒーを淹れてくれるのが特徴です。
さて、そんなサードウェーブで有名な店と言えばコーヒー界のappleとして名高いブルーボトルコーヒーです。なぜ、ブルーボトルコーヒーが誕生した経緯を知ると、サードウェーブとは何かということがより輪郭を帯びて見えてくると思います。
ブルーボトルコーヒーの創業者はジェームス・フリーマンさんという人物。2000年代前半、コーヒーマニアだった彼は新鮮味が無くローストが深すぎる一般的なコーヒーセレクションにうんざりしていたと言います。出典:ブルーボトルコーヒー
やがて彼は「もっと新鮮で本来のコーヒーの味を求めてる人々の為にコーヒーを作りぇなぁ。作るしかないっしょ」と思うようになり、フリーマンさんはブルーボトルコーヒーを立ち上げたのです。
そんなフリーマンさんはなんとスターバックスのことを嫌いと公言しています。その理由は、味は美味しいけどコーヒーはマニュアル化して効率化するものではないという考えから。
そうした考えを持つフリーマンさんの作り上げたブルーボトルコーヒーは「焙煎後48時間以内の豆しか販売しない」「注文を受けてから1杯ずつハンドドリップで丁寧に淹れる」という徹底したこだわりあるコーヒースタイルを持っていました。その結果、アメリカで人気を博して日本上陸に至ったのです。
ちなみにジェームスさんは日本の喫茶店が大好き。カフェ・ド・ランブルなどお気に入りの店を何軒も持ち、何度も日本を訪問して、その影響を大いに受けたと言います。
ブルーボトルの例を見ると、サードウェーブというブームは、近年の大量生産や徹底した効率化したカフェに対して「もっと1杯1杯のコーヒーに丁寧に向かい合って楽しんでもらおう」というようなアンチテーゼのような形で誕生したという側面があるかもしれません。
時代が生まれて、やがて新しい時代が作られる。その過程を見ていくと面白く、またカフェの見方が多いに変わります。次は一体どんなブームが起こるのか密かに楽しみにしている今日この頃です。
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