「カフェコロラド」という喫茶店は、外観などを見れば「そういえば見たことある!」となるけど、名前はイマイチ知らないな、なんて方もいるのではないでしょうか。
実はこのカフェコロラドは、日本の喫茶店・カフェの歴史に大きな影響を与えていたのです。
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カフェコロラドはドトール系列の店
カフェコロラドはドトールコーヒーが最初に手掛けたフランチャイズのコーヒーチェーンです。
1972年、コーヒー専門店「コロラド」は神奈川県川崎市に1号店が誕生しました。「健康的で明るく老若男女がともに親しめる店」というコンセプトが時代とマッチし、店は大繁盛しました。
このカフェコロラドは当時の喫茶店としては革新的な試みがされていました。そして、今現在の喫茶店・カフェ業界に与えた影響は大きいと言えるでしょう。
<コロラドがやったこと>
健康的な雰囲気の喫茶店で新たな層を獲得
1960年代の喫茶店は、薄暗い店内でタバコの煙が充満し、お客さんと言えば仕事をサボっているサラリーマンたち。提供されるコーヒーも質の低いものが多かったと言います。不健康なイメージもあって、水商売や風俗産業とも言われるほどでした。
カフェコロラドの創業者である鳥羽博道さんは「このままじゃ喫茶店が陽の当たらないところに追いやられてしまう」という危機感を抱いていました。
そして、ヨーロッパ視察で見たコーヒーショップをヒントに「健康的で明るく老若男女ともに親しめる店」というコンセプトのコーヒー専門店「カフェ コロラド」をオープンしたのです。(ヨーロッパ視察の様子は⇒ドトールは立ち飲みのコーヒーショップだった!今はどこに存在する?)
当時の不健康な雰囲気がないコロラドは、一般的な喫茶店の3倍以上のお客さんが入るようになったといいます。客層もサラリーマンだけでなく、地元の商店主、自由業の人、買い物に出てきた主婦。今まで喫茶店を利用しなかった層のお客さんにも利用してもらえるようになったと言います。
産地別のコーヒー提供
当時の喫茶店は、コーヒーは脇役的な存在だったそうです。また。コーヒーといえばブレンドコーヒーというのが常識。
鳥羽さんは、コロラドは「コーヒーそのものを売る」という考えを基に、ブラジル・モカ・キリマンジャロのように産地別ににコーヒーを提供することにしたのです。
生産国別のコーヒーを飲むという文化が生まれてきたのもこの頃だったと言います。現在では様々なコーヒーショップで、産地別のコーヒーを飲むことができます。こういった文化を広めるのにコロラドは大きく貢献したと言えるでしょう。
豆の挽き売り
当時は、家庭でコーヒーの豆を挽いて飲むということは想像もつかない時代でした。しかし、鳥羽さんはドイツを訪れた際にコーヒーの挽き売りをしている光景を見たこともあって、「遠からず家庭消費の時代が来るだろう」と確信していたそうです。
コロラドでは店舗でのコーヒーの挽き売りも行いました。それに伴い、コーヒーの家庭消費を普及するのに、大きな役割を担ったといえるでしょう。
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誕生のきっかけは怒りから
カフェコロラドは、日本の喫茶業界に大きな影響を与えました。このカフェコロラドが生まれたきっかけには、創業者の鳥羽さんの怒りが背景にあったと言います。
あるコンサルタントがいました。そのコンサルタントは高いコンサルタント料をとって喫茶店の指導を行っていましたが、どこも経営状態がよくなりませんでした。
そのコンサル指導をされている中に、主人がなくなってその保険金で店を始めた女性がいました。しかし、経営は安定せず、その女性はノイローゼになってしまったそうです。
一方、コンサルタントは高額な料金をとり、自分は高級外車を乗り回している。その店の経営はどうなろうと平気でいられる。その様を見て鳥羽さんは「人の生き血を吸う吸血鬼」としか思えなかったそうです。
鳥羽さんは、「喫茶業界に革命を」という使命感に奮い立ちカフェコロラドをオープンするのに至ったそうです。
カフェコロラドは1号店オープンから10年後には280店舗と大きく成長していきました。カフェコロラドが日本の喫茶業界に与えた影響は大きいと言えるでしょう。今まで見たことはあるけど入ったことはないという方は、ぜひ一度コロラドを訪れて、誕生のストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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