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ドトールは競合にどうして勝てた!?吉祥寺コーヒー戦争

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今回は、大手コーヒーチェーンが参入し、ドトールがいかにそのピンチを凌いだのかということをお伝えさせていただきます。

この「吉祥寺コーヒー戦争」と呼ばれる戦いを制した理由を知ると、ドトールをより一層好きになっていただけるのではないかと思っております。

 

 

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当時のドトールの状況

 

ドトールコーヒーは1980年に誕生し、150円という低価格を武器に店舗数を順調に拡大していき国内1000店舗という偉業も達成しました。

そんなドトールが順調に軌道に乗りかけている最中、欧州最大のコーヒーチェーンである「チボー」が日本に上陸し、ドトールは危機的状況に直面するのでした。

 

ライバルは憧れのコーヒーチェーン!?

このチボーというコーヒーチェーンは、何を隠そうドトールの創業者の鳥羽博道さんにとっては憧れとも言える存在でした。

 

ドトールはチボーを参考に店作りを行われ、日本のチボーになることを鳥羽さんは夢見ていました。 そんなチボーがやってくるということで、鳥羽さんは戦々恐々としていました。

 

チボーもドトールの影響を受ける

 

そんなチボーもまた、ドトールの影響を受けたコーヒーチェーンでした。

チボーは元々は、コーヒーの豆を売るのが主で、コーヒーは試飲程度に振る舞われているくらいでした。

 

ある日、チボーの社長らが鳥羽さんを訪ねドトールの見学を希望してきました。鳥羽さんは光栄に思いもちろん承諾。「写真を撮っていいか」と聞かれると「どうぞどうぞ」と喜んで応えたそうです。

 

その1.2年後鳥羽さんがドイツを訪問すると、チボーの新店には椅子が置かれて、飲食を提供するような機能が付与されていました。それはドトールを参考にしてると、分かるものだったそうです。

 

ドトールより30円安いコーヒーチェーンが誕生

 鳥羽さんのチボー訪問から1年後。チボーが再び鳥羽さんのもとを訪れてきました。

 

チボーは、日本に出店予定でしたが、なかなかいい場所が見つからなかったためドトールに提携を要求してきました。

しかし、それは提携と言っても「うちと提携しろ」と言わんばかりの高圧的な態度だったそうです。交渉は平行線をたどり、チボーは独自に日本進出をすることに決めました。

 

チボーは、既にドトールが2店舗ある吉祥寺に店をオープン。

当時、ドトールのコーヒーが1杯150円。一方、チボーのコーヒーは1杯120円とドトールより30円安い値段でした。

鳥羽さんは「ドトールコーヒーショップを潰しにかかったな」という印象を受けたそうです。

 

その後、「カフェ・セボール」「カフェ・ボンサンク」などいずれも大手の企業が絡んでいるコーヒーショップが次々と吉祥寺に進出してきました。弱小であるドトールには危機感を抱かざるを得ない状況でした。

この動きはメディアでも大きく取り扱われて「吉祥寺コーヒー戦争」と呼ばれるようになりました。

 

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勝利の理由は「理念の違い」

 

この「吉祥寺コーヒー戦争」は思いの他、短時間で集結したそうです。後から参入してきた企業は、チボーを含め撤退を余儀なくされました。

 

チボーは、ドトールより30円コーヒーが安く、さらにドトールの影響も受けていました。大きな資本も持っています。

それだけ見れば、ドトールが勝利するのは厳しいように感じます。

 

チボーなどを退けたり理由をドトール創業者である鳥羽博道さんが分析しております。長文ではありますが、鳥羽博道著『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』より引用させていただきます。

この文章から鳥羽さんの経営に対するほとばしるような熱量が伝わってくるようで、僕の感情が大いに揺さぶられました。そして、この熱量はチボーを退けた理由にも大きく関わっていると言えると思います。

 

それはひと言でいえば、企業哲学の違いに尽きる。儲かりそうだからやるのか、一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供したいと心から願ってやるのか。

その違いは必ずどこかに表れてくるものだ。コーヒーの味の差であり、店舗の魅力の差であり、接客態度の差だ。

また、お客様にもそうした違いを敏感に嗅ぎ分ける嗅覚があるようだ。ただ単に、形式だけを真似てやったものは感動、共感、共鳴を呼び起こすことなどできない。

そこに魂が入っているのかどうか。経営理念があるのかどうか。さらには、店舗、商品など、お客様に提供するすべてのものがそうした企業理念に裏打ちされたものであるかどうかということだと思う。

店の魅力、商品の魅力、人の魅力。あるいはその店を経営するうえでの願い。そうしたものが感じられないものは、しょせん似て非なるものに過ぎず、いくら資金をつぎ込んでもうまくいかないだろう。「仏をつくって魂を入れず」のことわざがあるように、肝心の魂、哲学、正しい願いというものがそこに込められていなければ、なんの意味もない。

引用元:ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記(日経ビジネス人文庫)

 

チボーを退けた理由は、きっと具体的に掘り下げたら立地条件が云々だとか様々なことを言えるのかもしれません。

しかし、この鳥羽さんの「企業哲学の違いに尽きる。儲かりそうだからやるのか、一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供したいと心から願ってやるのか。」という発言を聞くと、確かにそれが全てなのではないかという風に思ってしまいます。

 

ドトールを訪問すると、他のコーヒーチェーンでは感じることのできない、ドトール独自の心地よい空気感のようなものがあります。

それはきっと「安らぎと活力を提供したい」という理念の賜物なのではないでしょうか。

 

また、鳥羽さんはお金を儲けるエネルギーが沸いたことがないと言います。ドトールの理念にはお金を儲けるというためにやる、という概念が含まれずに、純粋なお客様への価値の提供を考えてるからこそ、お客さんに伝わるものなんだと思います。

 

 

ドトールの創業者鳥羽博道さんの精神を学んでいくと、ドトールのことをなぜ好きになったかという理由が紐解かれていくようで、すごく好奇心が刺激されて楽しいです。

皆さんも、ドトールを訪問してみて、ドトールの理念を感じてみてはいかがでしょうか。

 

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