コーヒーチェーンが店を出す際は、出店予定の場所にお客さんはちゃんと来るかを調査することは大事でしょう。では一体、どのように調査をしているのでしょうか。
今回はジャパンタリーズの創業者である松田公太さんが実践した、出店前の調査方法を紹介させていただきます。
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出店前調査~銀座編~
1997年8月に銀座に日本初のタリーズが誕生しました。
創業者の松田公太さんは、この店舗がちゃんと賃料に見合うものなのかを、オープン前に現地で調査していたそうです。
調査方法は?
まず、出店予定の場所から通りを挟んで反対側にある喫茶店の2階の窓側に陣取ります。そして、朝9時から夜の9時まで、張り込んで通行人の数を数えるというもの。
通行人の数え方は、男女・年齢別・サラリーマン・自由業・学生などに分けて、歩いているスピードから銀座を生活圏にしてるかどうかも判断。
また、隣にあるチェーン店の「プロント」「マクドナルド」に入る客数も調べて、時間帯別の比率も計算したそうです。しかも、カウンターも持たずに、ひたすらノートに「正」の字を書き続けるという方法で。
ちなみに、松田さんが調査に使っていた喫茶店の方には、なんの事情も話さなかったようです。喫茶店の人からしたら、朝から晩まで通行人を集計し続ける松田さんの姿はきっと、どこに出しても恥ずかしくないヤバイ人に見えていたに違いありません。
しかし、周囲の視線など関係なしに調査に没頭するという姿勢は、とてもかっこよく思います。
調査の結果は?
そうして得た結果。通行人は平均すると10分で約300人。プロントとマクドナルドも繁盛していたことから「これはいける」と確信したそうです。
出店前調査~神谷町編~
1号店が軌道に乗り、松田さんは2号店の出店をする場所の調査に再び向かいました。次の2号店はビジネス街に出店しようと考えていたそうです。
ビジネス街出店の理由は、リピーターが期待できるのと、「最高の味にこだわった店」というブランドを確立する上で、そういったイメージにぴったりのお客さんの来店が期待できると考えたため。
調査方法は?
まず、出店予定の場所から道を挟んだ物件の反対側にあるコーヒーショップに陣取ります。そして、数日間、通行人を数えたそうです。
日中でだいたい10分に60~70人程度と数は銀座店より少ない。
また、神谷町という土地は知名度もないため外食産業関係者の間では「不毛の地」と言われていました。しかし、それでも結局松田さんは出店を決意したそうです。
出店を決めた理由
銀座よりも通行人の数は少なかったものの、ほとんどがビジネスマンやOLの方だったそうです。近くには大型のオフィスビルもあったため、そこで働く人たちをリピーターとして取り込めば成功するはずという結論に至ったそうです。
そして、タリーズは成功を収めました。しかし、それがっきかけでライバルの外食チェーンがどんどん押し寄せてきたそうです。
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出店前調査~幻の広尾編~
タリーズの1号店は銀座にオープンしましたが、一時は物件選びが難航し、1号店の場所は広尾に決まりかけたことがあったのです。
広尾でも調査を行いました。調査方法 は、道路を挟んで反対側にあるサンドイッチチェーン「サブウェイ」の二階にこもり、数日間にわたって朝から晩まで通行人の数を数えるというもの。
調査結果は?
昼時になると、商売になりそうな数の通行人がおり、また近くに女子大があって授業が終わる頃には学生の姿も多く見られたそうです。しかし、時間帯によって通行人が激減したりとブレが多く、学生が夏休みや冬休みの時期の営業も厳しいと松田さんは思いました。
考えた末、この物件を見逃しても次にもっといい場所が見つかる保証はないと思い、手付金の300万を払ったそうです。しかし、その後、出店希望地であった銀座の物件が確保できるチャンスを手に入れて、その300万は捨てる形になってしまったそうです。
まとめ
普段、なんとなく通っているコーヒーチェーンも出店前には、様々な試行錯誤があるのですね。
また、松田さんが窓際で通行人を人の目も気にせずに調べているシーンを想像すると、不思議と「僕も頑張ろう!」とポジティブな気持ちになります。コーヒーチェーンは知れば知る程奥が深いです。
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