Enjoy Cafe!

Enjoy Cafe!

コーヒーチェーンを中心にカフェの魅力を伝えていくサイトです。

音楽喫茶の歴史<流行った理由・衰退した理由・名曲喫茶ライオンを訪問>

f:id:doutorer:20180515160655j:plain

 

「音楽喫茶」と聞くと「イロモノの喫茶店なのかな?」と思うかもしれませんが、そうではありません。

音楽喫茶は一時期は日本で隆盛を極めました。多くの人々が音楽喫茶で音楽に耳を傾けながらコーヒーを飲んで、有意義な時間を満喫していました。

 

なぜ音楽喫茶は多くの人々から支持され、衰退していったのか。その経緯を知ると「カフェ・喫茶店」という場所の本質を知るヒントになると存じております。

 

 

スポンサーリンク

 

 

音楽喫茶の歴史を知ることでわかる「喫茶店・カフェ」がどういう場所なのか

音楽喫茶の誕生の経緯と、衰退の過程を知ること。それは喫茶店・カフェという場所が、単にコーヒーを提供しゆっくりとする場所であるのではなく、時代に必要な空間を補完する場所として機能しているということがわかります。

パソコンが普及したことによって、最近では電源を提供するカフェが増えました。時代によって人々の過ごし方に合わせて形態を変えていくカフェという存在は興味深いです。

 

音楽喫茶が隆盛した理由

音楽喫茶と聞くと、イロモノの特殊な喫茶店かと思うかもしれません。そのような存在ではなく、音楽喫茶は1925年(昭和元年)に「名曲喫茶ライオン」が開業し、戦後は多くの名曲喫茶(クラシック音楽とコーヒーを売りにする喫茶店)が都内の繁華街に誕生していきました。

 

戦争で荒んだ心の安らぎを求め、人々はクラシック音楽とコーヒーを求めに名曲喫茶に足を運んだのでした。そして、音楽喫茶は「ジャズ喫茶」「シャンソン喫茶」「歌声喫茶」など様々なジャンルの音楽喫茶が誕生し昭和30年代から昭和40年代頃に隆盛を極めました。

 

コーヒーの味を楽しみに来るというよりは音楽を聞きに訪れるお客さんが多くを占めました。当時は音楽を聞くための道具と言えば「レコード」でした。しかし、レコードは値段が高く、庶民が簡単に入手できるものではありませんでした。レコードを再生するための器具であるステレオも高くて購入することはできません。

また、今のようにコンサートやライブなどのように生の演奏を見聞きするのは珍しい時代です。音楽を気軽に楽しむことができない方は、音楽喫茶はとても重宝する場所だったのです。

 

なぜ衰退した?

音楽喫茶が衰退した理由は、時代ととものその空間の役割が必要ではなくなってきたからです。音楽喫茶は音楽を聴きに来るお客さんが大半でした。そのため、音楽を聴きに来る理由がなくなっていくと共に、衰退していきました。

 

高価だったレコードが安価に購入できることになったこと。今までは自分の部屋がないのが当り前の状況でしたが、住宅環境が改善され自分の部屋でレコードを聴くことができる環境が整ったこと。名曲喫茶(クラシック音楽)、ジャズ喫茶、シャンソン喫茶など、音楽が多様化してそのジャンルの音楽の訴求力自体が低下していったこと。 昭和40年代に入ると急速にお客さんの数は減り、40年代後半には次々と閉店していきました。

 

音楽喫茶の衰退の過程を知ると喫茶店・カフェという場所は、その時代によって求められている空間を補完する役割を果たしていることがよくわかります。 

そういった見方をすると電源が設置されているカフェが増えていくのも「時代とともに変わりゆくカフェ・喫茶店」を見れている気がして、なんだか感慨深い気持ちになります。

 

スポンサーリンク

 

現在も営業を続ける「名曲喫茶ライオン」に訪問してみた

f:id:doutorer:20180515161243j:plain

 

現在でも営業を続ける音楽喫茶は都内にいくかあります。渋谷にある「名曲喫茶ライオン」は音楽喫茶の草分けて的存在です。戦争で消失してしまったものを戦前のイメージを再現した建物を建築し、再び営業をするようになりました。

 

先日この「名曲喫茶ライオン」を訪れてみました。 

店内の正面には巨大なスピーカーがあり、たくさんのレコードが陳列されています。クラシック音楽が大きなボリュームで鳴り響き、ほぼ全ての席はスピーカーの方を向いています。学校の教室の席が連想されました。

 

まさに音楽を聴くための喫茶店という感じで、外の騒がしい渋谷の雰囲気とは打って変わって、厳かな雰囲気で、おしゃべりはもちろんのこと、パソコンを取り出すのも憚られます。友人などと一緒に来るのは避けた方がよいでしょう。

 

f:id:doutorer:20180524152224j:plain

写真:無料でもらえるプログラム 

 

一時代の娯楽を同じような形で楽しめてると思うと、貴重で贅沢な体験をしているように感じます。喫茶店ではゆっくりコーヒーを飲んで楽しんだりすると思いますが「名曲喫茶ライオン」は、圧倒的な非日常な空間なので、その特別な「体験」を楽しむ感じでした。

 

マイクで店員の女性が「3時のプログラムを終了します」とアナウンスするシーンなどが見られ、歴史を肌で感じられている気がしました。

 

かつて名曲喫茶では、自分の聴きたい曲をリクエストして自分の番が来るまで何時間も待ち続けたりしていたと言います。解説を交えながら行うレコードのコンサートも開催されることもあったそうです。

昭和20年代後半から30年代後半にかけて隆盛を迎えた名曲喫茶。その文化を肌で体感できる「名曲喫茶ライオン」を訪問するのは、とてもよい経験になるかと存じます。

 

スポンサーリンク