(画像元:https://www.peets.com/about-us/our-history)
スターバックスやアメリカのコーヒーの歴史を理解する上で避けて通れないのが「アルフレッド・ピート」の存在です。アルフレッド・ピート氏はスターバックスの祖と言われ、アメリカのコーヒー危機を救った人物です。
彼がもたらした功績とはどういったものなのでしょうか?
- 「アルフレッドピート」とは
- アメリカのコーヒーがまずかった理由
- 「ピーツ・コーヒー&ティー」を開いた経緯!
- どのようにして高品質なコーヒーを普及させた?ピート氏の功績とは!
- スターバックスに与えた影響について
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「アルフレッドピート」とは
写真:アルフレッド・ピート氏
(画像元:https://en.wikipedia.org/wiki/Alfred_Peet)
アルフレッド・ピート氏はコーヒーチェーン「ピーツ・コーヒー&ティー」の創始者です。「ピーツ・コーヒー&ティー」は日本で知っている方は少ないと思います。(現在はありませんが、かつて日本にも数店舗ありました)アメリカではピーツ・コーヒーに通い続ける「ピートニック」と呼ばれる、熱狂的な支持者もいるようなコーヒーチェーンなのです。
ピート氏はスターバックスの創立者たちに多大なる影響を及ぼし、また、アメリカのコーヒー業界を救うことに多大なる貢献しました。
彼がコーヒー業界にどのような影響をもたらしたかを知る上で、まずは第二次世界大戦直後のアメリカのコーヒー業界がどのような危機に直面していたかを知る必要があります。
アメリカのコーヒーがまずかった理由
第二次世界大戦の直後、アメリカのコーヒーの質が著しく低下していました。
第二次世界大戦の際、コーヒーを飲むことで兵士の士気が高まる効果があることから、大半が軍に供給されました。そのため、一般人にはコーヒーが行き渡らず、少ないコーヒーで満足感を得るために、コーヒーを薄めて飲む方法が普及するようになりました。ちなみに「アメリカン」が薄い味の理由には、こうした要因が絡んでおります。【関連】アメリカンコーヒーとは
戦争が終了した後も、アメリカ人は薄いコーヒーの味になれていました。また安いインスタントコーヒーなどが普及したことによって、アメリカではまずいコーヒーが定着しつつあったのです。
これはコーヒー業界にとっては好ましい状況とは言えません。まずいコーヒーばかり提供していれば、誰もコーヒーは飲まなくなってしまうでしょう。
コーヒーが支持されている理由のひとつはカフェインによる依存性が挙げられます。あまりにも味の質が低くなれば「コーラ」などの他のカフェイン飲料にそのポジションが取って代わられる可能性も大いにあるのです。
「ピーツ・コーヒー&ティー」を開いた経緯!
そんなアメリカのコーヒーの質の低下を憂いて、アルフレッド・ピート氏が開いた店が「ピーツ・コーヒー&ティー」です。
35歳の時にアメリカに渡ったピート氏は、世界一の富裕国であるアメリカのコーヒーを飲んで、「こんなお粗末なコーヒーを飲んでいるのか」と衝撃を受けたそうです。そこで、ピート氏は薄くてお粗末なコーヒーではなく、高品質なコーヒー豆を家庭用に販売する店を45歳の時に開いたのです。
アルフレッド・ピート氏はオランダで生まれ、コーヒーを売る仕事をしている父の元で育ちました。1948年には、コーヒーの貿易商として、インドネシアのジャワやスマトラのコーヒー園に足を運び、そこでは高品質なアラビカ種のコーヒー豆を堪能し、その時に生産地や地域によるコーヒーの味の違いなどを覚え、虜になっていきました。
コーヒーに深く精通した人生を過ごし、本物の味を知っているピート氏ですから、まずいコーヒーが提供されている現状を良しとはしなかったことでしょう。
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どのようにして高品質なコーヒーを普及させた?ピート氏の功績とは!
「ピーツ・コーヒー&ティー」を開いたピート氏はどのように支持を獲得し、品質の高いコーヒーを普及させていったのでしょうか。
ヨーロッパから移住してきた人々は美味しいコーヒーを飲み慣れていたので、ピート氏のコーヒーを飲んで、故郷の味を思い出し有頂天になっていました。一方で、薄いコーヒーに慣れているアメリカ人に理解してもらうのは時間がかかりました。
ピート氏は「深煎り」のコーヒー豆で淹れたコーヒーを提供しています。深煎りとは、「焙煎」というコーヒー豆を焼く工程において強めに焼いた豆のことを指します。反対に軽めに焼いた豆を浅煎りと言います。
深煎りにすると味が苦くなる傾向にあります。深煎りのコーヒーと言えばスターバックスです。飲んだことがある方はわかるかと思いますが、苦いという印象があると思います。
そんな苦いコーヒーですから、薄い味に慣れていたアメリカ人がピート氏の淹れたコーヒーを飲んで、はじめのうちは苦々しい顔をしたことに違いないでしょう。
ピート氏はお客さんに美味しいコーヒーを知ってもらうために、椅子を6つだけ置いて小さなコーヒーバーを作り、手頃な値段でコーヒーを振る舞いました。
そして、お客さんに家庭でコーヒーを挽いて淹れる方法から、コーヒーの味の微妙な違いまでを徹底的に講義しました。コーヒーの知識を得た女性客は、翌週には夫を連れて来るようになったりしました。
先進的なピートの店は評判になり、一年半後には列ができる程繁盛するようになりました。「イカス!」などの理由からヒッピーの溜まり場にもなりました。こうしてアメリカに高品質なコーヒー文化を広め、アメリカをコーヒー危機から救う役を担ったのでした。
スターバックスに与えた影響について
ピート氏は深煎りコーヒーの風味こそ最高だと信じていました。その価値観に同調したのが、スターバックスの創業者であるジェリー氏とゴードン氏でした。
スターバックスの創立者はピート氏からコーヒーの焙煎について手ほどきを受け、また最初の頃はピート氏の店からコーヒー豆を卸していました。また店のデザインも、ピート氏のデザインをそっくり真似したものでした。
そのため、ピート氏はスターバックスの祖とも言われるようになったのです。
また、コーヒーの質が低下したアメリカで高品質なコーヒーを提供していた店は他にもあたのですが、ピート氏がこの時代を救った人物として最も注目を浴びるのは、スターバックスに対する貢献の大きさも関わっていると言えるでしょう。
また、後にこの「ピーツ・コーヒー&ティー」1984年にスターバックスに買収されることになります。現在では競合の関係にあるので、この事実を知る人は多くないといいます。
コーヒーに携わる人物の歴史を知ることで、カフェの楽しみ方に深みが出ると存じます。「カフェ」というのは過ごすことだけでなく、知ることも楽しいものだと思っております。
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