今回は「フルサービスの喫茶店は何か?」ということをお伝えした上で、なぜフルサービス喫茶店は一度衰退したにも関わらず息を吹き返したことの理由をお伝えさせていただきます。
カフェ・喫茶店の歴史を学ぶことは、日本の歴史、はたまた経済についても理解が深まり、個人的にはとても興味深いです。カフェ・喫茶店を通じて世の中の仕組みを語れるようになりたい今日この頃でございます。
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そもそも「フルサービス」の喫茶店とは何か?
喫茶店で言うところの、フルーサービスとは店員さんが席まで注文を取りに来て、注文したメニューも席まで持ってくれるスタイルのことを指します。
これに対して「セルフサービス」は、カウンターでメニューを注文して、お客さん自らが注文したメニューを席まで運ぶスタイルのことを指します。(詳しくは⇒セルフサービス/セルフカフェとは<特徴・歴史・メニューについて>)
セルフサービスのカフェのコーヒー一杯200円~300円程度。一方、フルサービスの喫茶店はコーヒー1杯400円~500円程度とやや高価ですが、その分ゆったりとした空間で長時間過ごすことができるが魅力です。
かつて隆盛を極めたフルサービスの喫茶店ですが、ドトールコーヒー・スターバックス・タリーズコーヒーなどのセルフサービスのカフェが増える一方、フルサービスの喫茶店は急激にその数を減らしていきいました。
【関連】セルフサービスのカフェが急増した理由【日本のカフェの歴史】
しかし近年、コメダ珈琲店や星乃珈琲店などを主として、フルサービスの喫茶店が人気を集め、店舗数が急増しています。元町珈琲・支留比亜珈琲など漢字で「珈琲」と表記される喫茶店が注目を集めていることから「漢字系珈琲チェーン」などと呼ばれて、ひとくくりにされることもありました。
なぜ、近年フルサービスの喫茶店の人気が息を吹き返したのでしょうか。
フルサービスの喫茶店が再び支持された理由!
シニア層の支持を獲得した
セルフサービスのカフェの登場によって、一気に姿を消したフルサービスの喫茶店。再び人気を獲得した要因のひとつとしてシニア層の支持を獲得したことが挙げられます。
フルサービスの喫茶店の特徴は、400円~500円程度の少し高価なコーヒーが提供される一方で、せかせかとしてないゆったりとした空間で過ごすことができます。店内はレトロ風のデザインのところが多く、中には無料の新聞や雑誌を読めるところもあります。
かつての日本はフルサービスのカフェしかありませんでした。
しかし、1980年に低価格でコーヒーを振る舞うセルフサービスであるドトールコーヒーが登場。バブル期に突入しでサラリーマンが喫茶店でゆったり過ごす余裕がなくなり、細切れ時間を活用できるセルフサービスのカフェが支持されるようになり。
また、デフレにより将来に対する不安などから世の中の目が安いものに向かったなどの要因で、フルサービスの喫茶店は衰退していきました。
詳しくは⇒セルフサービスのカフェが急増した理由【日本のカフェの歴史】
そんな状況の中、近年では定年退職を迎えてお金も時間も余裕が出てきた団塊世代のシニア層の方が増えてきました。シニア層の方々にとって、セルフサービスのような「若者風」なカフェは落ち着かないと思ってる方も少なからずいます。
また、セルフサービスのカフェは座席間隔も狭い傾向にあり、シニア層の方からしたら「少し高くてもいいからゆったりと落ち着きたい」と思われる方も多いことでしょう。
そういった事情から、レトロな雰囲気でゆったりと過ごせて、コメダ珈琲店や星乃珈琲店などのフルサービスの喫茶店が再び支持されはじめたのです。
コメダ珈琲店や星乃珈琲店を実際に訪れると、平日・休日問わず多くのシニア層のお客さんが来店しております。グループで談笑にふけるかた、新聞を読みながらモーニングをつまむ方、夫婦でおしゃべりをする方、お客さんによって用途は様々ですが皆さん往々にしてリラックスした雰囲気で楽しんでおります。
フルサービスの喫茶店が息を吹き返したのは、シニア層のオアシスのような存在になったからと言えるでしょう。
ファミリー層の支持を獲得している
写真:コメダ珈琲店のクリームソーダ
フルサービスの喫茶店の特徴は、大きな駐車場を持ち郊外のロードサイド(道路沿い)にも数多く出店していることです。
コメダ珈琲店は郊外のロードサイド(道路沿い)に出店数を急激に増やしました。喫茶店は都市部に出店するのが一般的なので、ロードサイドの喫茶店というのは今までになかった概念です。
かつての常識からすると、喫茶店に目当てで多くのお客さんが、わざわざ車を出してまで訪れるということは考えられなかったことでしょう。あえて車を出してまで行きたい理由を作れたことがフルサービスの喫茶店の成功の要因です。
車を出すお客さんと言えば、ファミリー層が多いです。ファミリー層が休日に出かける場所を決めるとなった時、お子さんの意見は重要だと言えるでしょう。「パパあそこ行きたーい!」と言われたら「じゃあ、そこでいいか」となるケースは多々あると思います。
コメダ珈琲店は、長靴型のカップに入ったクリームソーダがあったり、お子さんが来て楽しくなるようなポイントが随所に散りばめられています。
子どもは楽しい気分になり、大人はゆったりとした空間にはまる。子どもも大人のハートもキャッチしたため、多くのファミリーが車で訪れることとなったのです。
【関連】コメダ珈琲店「クリームソーダ」長靴型のグラスについて!感想と豆知識!
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コーヒーレストランという新しい業態
写真:ふわふわスフレドリア
また、近年支持されているフルサービスの喫茶店は料理のクオリティも高いです。来るまで訪れる価値があります。
中でも星乃珈琲店のクオリティは別格と言ってもよいでしょう。
星乃珈琲店を運営しているのは日本レストランシステムという会社です。同社は「洋麺屋五右衛門」「卵と私」などなど様々な人気外食チェーンを手掛けています。
それらのブランドで培った技術を星乃珈琲店に生かしているので、メニューのクオリティがとても高いのです。「ふわふわスフレドリア」はスフレがぷるんぷるんで、食べてみると今まで味わったことのないふわふわの食感。
【関連】星乃珈琲店|ふわふわスフレドリア|美味しいには理由がある!
従来の喫茶店とは一線を画したレベルのメニューを提供していることから、星乃珈琲店は「コーヒーレストラン」などという呼ばれ方もしています。
星乃珈琲店をはじめ、他のフルサービスの喫茶店も高いクオリティのメニューを提供しています。今まではレストランにランチやディナーを食べに行っていた層を取り込めたことも、フルサービスのカフェが拡大になった要因と言えるでしょう。
かつて日本はフルサービスのカフェが一般的でした。一度衰退し、また再び支持を獲得しました。カフェ・喫茶店の歴史を見ていくと、日本の歴史・経済、あらゆることの学習につながると思います。
カフェを通して、世の中を把握するお役に立てれば幸いでございます、
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