タリーズコーヒーの事例を通して「敵対敵買収」について説明させていただきます。「敵対的買収」の意味を知ってからタリーズコーヒーが伊藤園の子会社になった経緯を知ると、事件のドラマチックさがよく理解できるかと存じます。
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敵対的買収とは何か!?
敵対的買収を理解する上で「株式会社」とは何かを知る必要があります。
株式会社は「株式」を発行してる会社のことを指します。
会社が上場すると、株式市場で誰でもその会社の株の売り買いをすることがができるようになります。株式会社は株を発行することによって、不特定多数の人から多くの資金を調達することができるようになり、その資金を使って事業を拡大したりすることができます。
会社が株を発行することによって、会社は経営者のものだけではなくなり、株を保有する人を含めたみんなのものになるのです。つまり、株主は会社の所有者になったわけですから、会社に対して意見が言える立場になりますね。
そして、株を持つ量が増えた株主は会社に対して影響力が強くなります。その会社の過半数以上の株を持つと、その会社の経営者を選ぶことができてしまうなど、非常に強い立場になることができるのです。
その会社の支配権を獲得するために、どこかの個人や会社が過半数以上の株を手に入れることを「企業買収」と言います。また、もともといる会社の経営陣が納得しない形で行われる買収を「敵対的買収」というのです。
タリーズが敵対的買収から逃れ、伊藤園の子会社になった経緯!
2006年8月タリーズは資金繰りに困っていました。お金が足りないどうしよう。そんな時に現れたのがS社。S社の人は「喜んでお金を出します!」というようなことを言って15億円(タリーズの株1割を保有する形に)を出してくれました。それでなんとかピンチを乗り切り社長の松田さんは安心したし救世主が現れたように感じたことでしょう。しかし、これでめでたしとはなりませんでした。
なんとS社は、松田さんに対して「株を買い増すつもりはない」と言っていたのに、ある日新聞を見たら「S社がタリーズ株を買い増し」という記事が踊っていたのです。先程説明したとおり、半分以上の株を保有されたら経営権を奪われてしまいます。敵対的買収です。
S社はタリーズの大株主である「ユニカフェ」から株を買い増そうと画策していました。ユニカフェは業績が低迷していて、株を売ることで利益を確保しようとしたのです。これによりS社はタリーズの株の34%を手に入れることになります。
S社がタリーズを買収してしたかったこと
S社はタリーズを買収してやりたいことがありました。
そのひとつは 、 S社のグループ企業である証券会社の端末をタリーズ全店舗に設置したいという。タリーズの顧客に店頭で口座を開設してもらい、さらにはデイトレーダーも店に集める。コーヒーを飲みながら株式を売買させるという作戦。その手数料の一部をタリーズに支払うということ。
しかし、それは松田さんが思い描くタリーズ像ではありません。
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敵対的買収をどうやって防いだのか?
どうすれば買収を防げるか。このまま買い増されたら半分以上の株を保有されてしまう。
そんなピンチの時にタリーズ社長の松田さんが本屋でたまたま会ったのが、伊藤園社長の本庄さん。松田さんは、この人に以前「出資させて欲しい」と言われていたのですが、その時は聞き流していたという経緯がありました。本屋で偶然会ってから、別れてしまったもののしばらくして「もしや、伊藤園なら・・・」と思い松田さんは本庄さんに会いにいきます。
そして伊藤園の社長に敵対的買収が仕掛けられてる旨を伝えると、検討の末、タリーズに出資することにしたのです。では伊藤園の社長と松田さんは手を組んで、どうやって敵対的買収を防いだのか?
タリーズの筆頭株主はエーシーキャピタルという会社です。ここがS社に株を譲ってしまった場合、S社が半分以上の株を獲得して会社の支配権を獲得してしまいます。それだけはなんとかしないといけません。
そこで、松田さんは伊藤園の社長とともにエーシーキャピタルに乗り込みました。伊藤園がタリーズの株をS社よりも10%高い価格で全て買い取ることを提案しました。しかし、それをS社が知ったらより高い価格で交渉してくるかもしれません。
そこで「今すぐだったら10%高く買う」という条件つきにしたのです!それにより交渉は成立。見事、S社による敵対的買収は防がれて、タリーズコーヒージャパンは伊藤園の小会社になったのでした。
タリーズが伊藤園の子会社というのを聞いて、ああそうなんだーと思って流してしまことが多いかもしれませんが、知ってみるとドラマチックで面白いですね!
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